執筆:ETERNALd.c.t 編集部|公開日:2026年9月11日
AIで仕事を効率化したいなら、最初にやるのはツール選びではありません。自分の仕事の棚卸しです。
生成AIが得意なのは、たたき台づくり・要約・形式の整理です。苦手なのは、事実を保証することと、責任を持って決めることです。AIに任せられるのは「作業」までで、「判断」は人に残ります。自分の仕事をAIで片付ける近道は、どの仕事が「作業」なのかを先に見分けることです。
うまく回り始めると、次の3つの効果が出ます。
- 時間短縮:メールや資料の下書き、議事録の要約をAIに任せると、ゼロから書く時間が減ります
- ミスの削減:「推測で補わない」「数値は空欄にする」といった条件をプロンプトの型に入れておくと、人が確認する場所がはっきりし、抜け漏れが減ります
- 属人化の解消:うまくいったプロンプトを保存して共有すれば、「あの人しか分からない仕事」が減ります
この記事では、AI導入支援を事業とし、自社のライバー事務所運営でもAIを使っているETERNALd.c.tが、その進め方を「4週間・5つの手順」にまとめました。
AIで仕事を効率化するやり方|4週間で進める5つの手順
全体の期間は4週間です。手順1〜4は1週目に行う「準備」、手順5は2〜4週目に行う「実行と定着」です。
- 仕事を書き出す(1週目)
- 3つの質問で仕分ける(1週目)
- 最初の1業務を選ぶ(1週目)
- プロンプトの型で1回試す(1週目)
- くり返して定着させる(2〜4週目)
手順1:直近1週間の仕事を書き出す
AIの入力欄の前で手が止まるのは、文章力のせいではありません。AIに渡す「材料」と「条件」が、まだ言葉になっていないからです。

イメージ:AIの入力欄を前に、何を頼めばいいか分からず手が止まっている状態
まずは、直近1週間のカレンダーや送信済みメールを見返しながら、何にどれくらい時間を使ったかを書き出します。「メール返信 30分」「議事録の清書 45分」のように、細かさがバラバラでも構いません。
手順2:3つの質問でAIに任せる仕事を仕分ける
書き出した業務に、次の3つの質問を上から順に当てはめます。最初に「はい」になったところで分類が決まります。3つとも「いいえ」なら「ほぼ任せる」です。
| 順番 | 質問 | 「はい」なら | 代表的な業務例 |
|---|---|---|---|
| Q1 | 責任を負う判断や、相手との関係を左右するやりとりか | 任せない(決めるのは人) | 契約・採用の判断、見積の条件提示、クレームへの謝罪・交渉 |
| Q2 | 自分で考えて決めることが、その仕事の価値そのものか | 相談相手にする | 企画のアイデア出し、売上やアクセスなどのデータ分析 |
| Q3 | 自分しか知らない数値や所感を、後から加える必要があるか | 下書きだけ任せる | 提案書・報告書などの文書作成、メール返信、よくある問い合わせへの回答文案 |
| ― | Q1〜Q3がすべて「いいえ」 | ほぼ任せる(最後に確認) | 議事録の要約、誤字・体裁の修正、表の整形 |
「相談相手にする」とは、AIに案や視点を出してもらい、決めるのは自分、という使い方です。

図:Q1→Q2→Q3の順に質問を当てはめ、最初に「はい」になった分類に決まるフロー。3つとも「いいえ」なら「ほぼ任せる」になる
「任せない」は、AIに一切触らせないという意味ではありません。謝罪や条件提示の文面も、下書きにAIを使うことはあります。ただし、送るかどうかと何を約束するかは、人が決めます。
AIに任せる範囲を広げすぎたときの失敗は、たいてい「人が確認しなかった」ところで起きます。たとえば、AIの要約をそのまま上司に転送して、数字の誤りを見逃すケースです(よくある例として挙げたもので、当社の事例ではありません)。
手順3:最初の1業務を選ぶ
最初の1つは、次の3つの条件がそろう業務から選びます。
- 毎週発生する
- 30分以上かかる
- 失敗しても大ごとにならない
棚卸し表は、次の5列で十分です(中身は記入例です)。
| 業務名 | 頻度 | 所要時間 | 分類 | 人/AI |
|---|---|---|---|---|
| 週次報告メール | 週1 | 45分 | 下書きだけ任せる | AI+人 |
| 打合せ議事録 | 週2 | 40分 | ほぼ任せる | AI(最後に人が確認) |
| 見積の条件提示 | 随時 | 20分 | 任せない | 人 |
よくある失敗は2つです。1つ目は、「企画書づくり」のように業務を大きく取りすぎること。「企画書の構成案だけ」のように、1回で終わる大きさまで小さくしましょう。2つ目は、月1回しか発生しない業務を選ぶこと。練習の回数が足りず、型が固まりません。
手順4:業務効率化のプロンプトの型で1回試す
使うツールは1つで十分
目安として、幅広く試したいならChatGPT、GmailなどGoogleのサービス中心ならGemini、Word・Excel・Outlook中心ならCopilotが選びやすいでしょう。会社では勤務先が許可しているツールを使い、機能やプランは各社の公式案内で確認してください。なお、決まった画面操作のくり返しはRPAという別の仕組みの得意分野で、生成AIは毎回中身が変わる作業に向いています。
プロンプトは「4つの要素」と「3往復」
ChatGPTでもGeminiでも、業務効率化のプロンプトは「役割・材料・条件・形式」の4つの要素でできています。コツは、1回で完成させようとしないことです。「たたき台 → 修正指示 → 確定」の3往復を前提にします。修正を頼むときは「もっと良くして」ではなく、「専門用語を減らして、中学生にも分かる言葉にして」のように具体的に伝えます。
次の型は、〔 〕の中を書き換えればそのままコピーして使えます。
型1:資料・メールの下書き(下書きだけ任せる)
【役割】あなたは結論から簡潔に書くビジネス文章の書き手です。
【材料】〔受け取ったメール本文、または伝えたい要点〕
【条件】結論を最初に置く。専門用語を避け、1文60字以内にする。数値は私が後で入れるので〔 〕の空欄にする。
【形式】件名+本文300字以内で2案
型2:議事録の要約(ほぼ任せる)
【役割】あなたは議事録担当です。
【材料】〔会議のメモ〕
【条件】発言者名は残す。推測で補わない。書かれていないことは「記載なし」とする。
【形式】決定事項/保留事項/次回までのタスク(担当・期限)の3ブロック
型3:数字の傾向出し(相談相手にする)
【役割】あなたはデータ分析の相談相手です。
【材料】〔日付・時間帯・数値のデータ〕
【条件】断定せず「傾向」として述べる。根拠となる行を必ず示す。
【形式】気づき3点+次に試すこと3点
通しの例:週次報告メール
※手順を説明するための架空の例です。
会社員のAさんは、棚卸しで「週次の営業報告メール/週1回/45分」を見つけました。Q1(条件提示や謝罪ではない)とQ2(中心は数字のまとめ)は「いいえ」、Q3(今週の数値と所感は自分で入れる)が「はい」なので、分類は「下書きだけ任せる」です。
Aさんは型1の材料欄に今週の商談メモを貼ります(社名・金額などの社外秘は伏せます)。1往復目でたたき台、2往復目で「先週との違いを冒頭1行にまとめて」、3往復目で「全体を2割短く」と頼み、最後に数値と所感を自分で入れて送信します。うまくいったプロンプトを保存しておけば、翌週からは材料を貼り替えるだけです。
手順5:挫折しない4週間の進め方
ETERNALd.c.tは「丸投げにさせない、置き去りにしない」を約束に掲げています。この考え方をもとに、ひとりでも進められる4週間の計画を作りました。
| 週 | やること | ゴール |
|---|---|---|
| 1週目 | 手順1〜4(書き出し→仕分け→1業務を選ぶ→型で1回試す) | 対象業務と、今の所要時間をメモする |
| 2週目 | 同じ業務を、今週分に加えて過去1〜2週分のメモやメールも材料にして、合計5回試す | 足すべき条件が分かり、プロンプトが固まる |
| 3週目 | 型を保存し、2つ目の業務で1週目と同じ流れを試す | 自分専用のプロンプト帳ができる |
| 4週目 | 所要時間を測り直し、浮いた時間の使い道を決める | 効果を数字で実感する |
2週目に過去の材料を使うのは、週1回の業務でも練習の回数を確保するためです。実際に送るのは今週の分だけにして、過去分は型を磨く練習に使います。
ポイントは、ツールを増やさず、1つの業務をくり返すことです。何度かやると「この条件を足せばいい」が見えてきます。それが、あなた専用の型になります。
効果は、始める前と4週目の所要時間を比べて測ります。たとえば週60分かかっていた仕事が週25分になれば、週35分の短縮です(計算方法を示すための例で、当社の実測値ではありません)。時間だけでなく、確認漏れが減ったか、型を他の人に渡せる状態になったかも見ておきましょう。
浮いた時間の使い道は、先に決めておきます。別の雑務で埋まってしまうと、楽になった実感が残りません。チームに広げるのは、自分の成功例を1つ見せられるようになってからにしましょう。
ひとりで続けられるか不安な方や、どの業務から始めればよいか迷う方は、info@eternaldct.netでご相談を受け付けています。相談だけでも大丈夫です。
当社の実例:配信分析と画像制作で、AIと人の役割を分ける
ETERNALd.c.tのライバー事務所では、AIを活用した配信分析で「伸びる時間帯」や「刺さる企画」をデータで見える化しています。手順4の型3と同じ「相談相手にする」使い方です。
一方で、配信時間の設計はマネージャーが個別に伴走し、月1回・原則30分の個別面談では、数字・悩み・次の月の目標を確認しています。マネージャー自身も現役のColorSing配信者です。AIによる分析と人による伴走を、それぞれ別のサポートとして用意しています。
所属ライバーには、副業や学業と両立している人や、深夜だけ・週末だけ活動する人もいます。データ上の「伸びる時間帯」が、その人の生活に合うとは限りません。AIが出す傾向に、生活の事情という「その人しか知らない情報」を重ねる必要がある点は、手順2のQ3と同じ構造です。この線を引いておくと、AIの結果に振り回されずに済みます。

図:配信データの傾向出しはAI、面談での目標確認と配信時間の設計は人が担う役割分担
画像制作でも考え方は同じです。ETERNALd.c.tのライバー事務所では、アイコン・サムネ・SNSヘッダーの制作支援に、AIキャラクター事業のノウハウを活用しています。画像づくりにAIを使う場合、AIは案を数多く出すのが得意ですが、その人の配信スタイルや見せたい雰囲気に合うかを決めるのは人です。既存の作品やキャラクターに似ていないかの確認も、人の仕事として残ります(後述の注意点3)。
傾向出しでも画像づくりでも、AIには「案を出す」ところまでを任せ、「選んで決める」ところは人が持つ。これが、手順2の仕分けを実際の業務に当てはめたときの線引きです。
読みながら気になったことは、そのままLINEで
「うちの場合はどうなる?」という個別の質問に、担当者がLINEでお答えします。
公式LINEで相談する質問だけでも大丈夫です。担当者がLINEでお返事します。
AIを安全に使うための3つの注意点
- 事実確認:生成AIは、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります(ハルシネーション)。数字・固有名詞・法令は必ず元の情報で確認し、社外に出す前に人が一度読みます
- 情報漏洩:社外秘・個人情報・未公開の数値は入力しません。入力内容をAIの学習に使わせない設定があるかも確認します
- 著作権:AIが作った画像や文章が、既存の作品やキャラクターに似ていないか確認します
勤務先にルールがあれば、それが最優先です。まだ無い場合は、「入力しない情報(顧客の個人情報・社外秘の資料・未公開の数値)」と「社外に出す文書は作成者以外にもう1人が読む」の2つだけでも決めておくと安心です。
参考になる公的資料です(2026年9月時点で確認。最新版は各機関の公式サイトで確認してください)。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月):https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月):https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(第1.2版、2026年3月31日公表):https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
中小企業がAI導入支援を頼むときに聞きたい3つの質問
社内だけで進めるのが難しければ、外部の支援を受ける方法もあります。相談先には、次の3つを聞いてみてください。
- 「導入後、何をどこまで見てもらえますか?」:ツールの納品で終わらないかが分かります
- 「うちの現場の言葉で説明してもらえますか?」:専門用語なしで説明してくれるかが分かります
- 「御社自身は、どの業務でAIを使っていますか?」:支援する側に実際に使った経験があるかが分かります
3つ目の質問には、当社も答えられるようにしています。ETERNALd.c.tでは、前の章で紹介したとおり、ライバー事務所の配信分析にAIを使い、アイコン・サムネなどの制作支援にはAIキャラクター事業のノウハウを活かしています。
よくある質問
ChatGPTの無料版でも効率化できますか?
この記事の型は、無料版でも試せます。使える機能や回数の上限は時期によって変わるため、各サービスの公式案内で確認してください。1つの業務で効果を感じてから有料版を検討しても、遅くはありません。
会社のPCでAIを使ってもいいですか?
勤務先のルールが最優先です。ルールが見当たらなければ、上司や情報システムの担当者に確認してから使いましょう。
一度試して続かなかったのですが?
ツールを変える前に、選んだ業務の大きさを見直してください。手順3の3つの条件に合う小さな業務に絞り直し、4週間の表の1週目からやり直すと再開しやすくなります。当社代表の畑 和寿は「最初の一歩は誰にとっても勇気がいる」と考えています。一歩目は小さくて構いません。
まずは、自分の1週間を書き出すところから
今日からできる最初の一歩は、直近1週間の仕事を書き出すことです。それだけで、AIに渡せる業務が見えてきます。
「どの業務をAIに渡せるか、一緒に仕分けてほしい」「会社としてどこから始めればいいか分からない」という段階でも、ご相談いただけます。ETERNALd.c.tはAI導入支援を事業として行っており、ツールを渡して終わりにしない、置き去りにしないことを約束しています。
- メール:info@eternaldct.net
- お問い合わせページ:https://eternaldct.net/contact.html
メールを書くのが面倒な方は、次の型をそのまま使ってください。
件名:AI導入の相談
一番時間がかかっている業務:〔1つだけ〕
その業務の頻度と所要時間:〔週◯回・◯分〕
聞きたいこと:〔1つだけ〕
メールを受け取った後、担当者からご返信し、ご相談の進め方をご案内します。相談だけでも大丈夫です。その場で決める必要はありません。
この記事を書いた会社
ETERNALd.c.t(エターナルディクト)は2025年5月設立、代表は畑 和寿です。大阪市中央区南船場を拠点に、AI導入支援、AIキャラクター販売・グッズ販売、ホームページ制作、ライバー事務所運営、音楽制作を手がけています。理念は「夢を、形に。未来を、共につくる。」、約束は「伴走する・わかりやすく・楽しむ」です。
- 公式サイト:https://eternaldct.net/
